[ 編集者:歯学部附属病院 2013年12月20日 更新 ]
歯ぐきは、薬の副作用でも腫れることがあります。これを薬物性歯肉肥大、または薬物性歯肉増殖とよんでいます。けいれんを止める抗てんかん薬のフェニトイン(商品名:アレビアチン、ヒダントールなど)の副作用でおこる歯肉肥大がもっともよく知られていますが、その他にも高血圧治療薬のうちカルシウム拮抗薬(商品名:ニフェジピン、アダラート、アムロジンなど)でも歯肉肥大がおこることがあります。さらに臓器移植や自己免疫の病気で用いられるシクロスポリン(商品名:サンディミュン、ネオラールなど)を飲んでいる人でも、歯肉肥大の生じやすいことがわかっています。この歯肉肥大は、若い人ほど、また服用量が多いほど重症になる傾向があります。その程度は、歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭)が少し膨れた程度のものから、歯が完全に隠れてしまうものまであります。歯肉肥大は歯面に歯垢(デンタルプラーク)が多いと重症化することが知られています。
歯肉肥大が起きたとき、服用薬を変更できればよいのですが、難しいことが多いため、日頃の歯みがきを徹底して行うこと、定期的に歯科受診して歯石を除去してもらったりすることが大切です。時には歯ぐきを切ることが必要になることもあります。