矯正科に取材しました!

大阪大学歯学部附属病院にある診療科の中で、最大の規模である「矯正科」。
一般的な歯列矯正に加え、顎変形症や口唇口蓋裂に対する難易度の高い矯正治療に注力しています。診療内容や特徴を、山城隆矯正科長にお聞きしました。

治療のデジタル化を推進し
難症例でも安全で満足度の高い治療を

歯科で“矯正”といえば、歯並びの矯正治療が思い浮かぶかもしれません。しかし大阪大学歯学部附属病院矯正科では、主に顎変形症や口唇口蓋裂を対象に、歯列を含め顎や口周り全体の矯正を行います。顎変形症では、顎の骨の大きさや形、位置を整え、噛み合わせなどの改善をめざします。また口唇口蓋裂では生後間もなくから成長の段階に応じてさまざまな治療を実施。いずれも手術が必要で、口腔機能や顔立ち全体に大きく影響する治療でもあるため、口腔外科をはじめ他科との連携が欠かせません。さらに、口唇口蓋裂の治療は成長という時間軸を踏まえた長期的な経過になるので、矯正科では連携と時間経過を統合して治療をリードし、患者さんを支えます。

特徴1 治療計画を“見える化”しわかりやすい説明へ

顎変形症では、噛み合わせや発音に不都合があり検査で適応があると診断されれば、保険診療で手術などの矯正治療が行えます。また口唇口蓋裂ではお子さんの成長を予測し、治療内容や時期をプランニングします。ただ、これら矯正治療は機能面とともに見た目の変化を伴い、患者さんのQOL(生活の質)に関わる治療でもあります。治療のゴールや治療の進め方もそれぞれ異なるため、患者さんの思いをしっかりとお聞きし、医療的な観点から治療の必要性や程度を精査し、患者さんのお考えとすり合わせて治療方針やゴールを決める必要があるのです。そこで当科では、治療説明に3D画像や治療前後のシミュレーション画像を活用。特に治療方針の説明には30分~ 1時間ほどを確保し、予想される口元や顔全体の変化、手術に伴うリスクなども画像で具体的に説明します。患者さんとわれわれが治療のゴールや進め方を共有し、安全
かつ納得できる治療へと向かいます。

特徴2 術前3Dシミュレーションで高精度な顎変形症手術を実現

顎変形症の手術には、上下顎骨切り術、上顎・下顎の単独骨切り術、オトガイ形成術、仮骨延長術などさまざまな術式があります。かつては印象材で口腔内の型取りをして顎骨の石膏模型を作り、それを切断して術式を検討する「モデルサージェリー」が行われていました。これに対して当科では、口腔内スキャナーやCTなどで採寸した詳細なデータをもとに、顎骨を含めた頭蓋骨などの3Dデジタル画像を作成。それをさまざまに動かしながら手術計画を立てる「3Dデジタルサージェリー」を、早い時期から開発・導入してきました。治療計画を担う当科の歯科医師と手術を担当する口腔外科の歯科医師が、同じデジタル画像を見ながら骨の切り方をはじめ移動範囲や移動方法をシミュレーションしてみるなど、手術内容を具体的に検討できます。これにより、術者の経験に左右されず安全かつ精度の高い手術がめざせるようになり、手術時間の短縮にもつながっています。