顎変形症センターに取材しました!
2025年8月、顎変形症治療を専門に手がける国内有数のハイボリュームセンターとして「顎変形症センター」が開設。その概要と特徴について、横田祐介センター長にお聞きしました。
患者さんの様々な要望に応えるために。2025年8月にセンターを開設
大阪大学歯学部附属病院口腔外科では、1971年から歯科矯正科とのチームアプローチによる外科的矯正治療を導入し、現在では年間に200件を超える顎矯正手術を行っています。また、外科的矯正手術をもとめて来院する患者さんは近年急増しており、それぞれが抱える症状や悩みも多様化しています。顎変形症治療に関わる多くの診療科をシームレスで繋ぎ、最適で良質な治療を一貫して提供するために、2025年8月1日、「顎変形症センター」が開設されました。顎変形症における治療では、不正咬合だけではなく、審美面や機能面に生じる不調和も改善されるため、より健康になれることがメリット。顎変形症かも?と悩まれている方は、是非一度ご来院ください。

特徴1 診療科の垣根を超えたプロフェッショナルが連携

顎変形症センターでは、口腔外科、矯正科、小児歯科、顎口腔機能治療部など、診療科の枠を越えてさまざまな科の先生が連携しています。また、定期的にカンファレンスを行い情報を共有しています。症例によっては、骨切り術だけではなく、骨の延長術や顎関節に対する手術が必要なケースも。どうしたら患者さんにとって負担が少なく、綺麗に、機能的に治るか、一点一点細かく検討しながら手術計画を立案します。また、顎矯正手術のような骨を切る手術では、出血を抑えるため、意図的に血圧を下げる「低血圧麻酔」を用います。術中の全身麻酔管理が重要なため、麻酔科の先生とも綿密に連携をとっています。加えて、当院には、口唇裂・口蓋裂などの顔面裂を有する先天異常を専門的に治療する「口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育治療センター」があります。このような疾患に起因する顎変形症は難症例であることも多く、複数回にわたるディスカッションを重ね、高度で専門的な治療を行っています。
特徴2 先進の機器を使用して身体に負担の少ない外科手術を実現
オーラルDX※として、全症例に対し、専用ソフトウェアを用いた術前3Dシミュレーションを行っています。これまでの平面(2次元)で行っていたシミュレーションと比べ、実際の手術をより反映した術前計画を立てることが可能となりました。これにより、身体への侵襲が少なく、より安全で正確な外科手術を実現しています。また、一人ひとりに合った各種ツールを作製できる3Dプリンターも導入しており、術中に適正な顎の位置を決めるために必要なCAD/CAMスプリントを作成。より理想的な位置に顎の移動ができるようになりました。さらに、上顎の多分割が必要となるような難手術では最新のナビゲーションシステムを活用しています。骨の中に隠れている歯根の位置がリアルタイムで分かるため、歯を傷つけることなく、より安全な手術が目指せます。これら、先進機器を活用した手術法の新規開発や顎変形症に関する遺伝子の解析など、センターならではの臨床研究にも注力しています。
※大阪大学からの支援により当院で進めているデジタル技術を使った最先端の治療・研究活動
