[ 編集者:歯学部附属病院 2014年11月12日 更新 ]
誰しもむし歯になるのは嫌なのに、どうしてこれだけ多くの方がむし歯になるのでしょう?それは、むし歯が気づきにくい病気だからです。むし歯にならないためには、その原因と予防方法を知ることがとても大切なことなのです。
食事の後に歯をみがかないと、口の中はネバネバしてきます。これがたまってできたものが、デンタルプラークです。日本語で歯垢と言います。そう、このデンタルプラークが、むし歯の原因です。では、デンタルプラークの正体はなになのでしょうか?実はデンタルプラークは、1グラムあたり1,000億個ものたくさんの細菌からできているのです。これが歯の表面に付着して、酸を出し、歯を溶かしていきます。デンタルプラークが歯の硬い表面を溶かしてしまうと、歯に水がしみたり、歯がズキズキ痛んだりします。こうしてむし歯になってしまうのです。
むし歯の発見は、歯に穴が開いてしまったり、「冷たいものや甘いものにしみる」といった症状で、気づくケースがほとんどです。しかし、そのような症状が分からないまま進む、むし歯も少なくありません。というのも、むし歯がよくできる場所というのがあって、それは「奥歯の溝」「歯と歯ぐきとの境目付近」「歯と歯の間」といったところになります。それらは、できやすい場所なのに、穴が開くほど進行していても、歯と歯の間で穴が隠されていたりして、症状がでないことが多いのです。だから、発見するには、鏡で歯をよく見ることです。歯の縁取りが黒くなっていたり、歯の中が白い、などといった、歯の色が変化することが多いので、注意して見てください。また、定期的な検査をしてもらうのも、早期発見にはかかせないポイントです。
通常の治療では、むし歯によって穴があいた場合は、むし歯の部分を取り除き、詰め物や覆うなどして歯の機能を回復します。その詰め物は、審美性や治療時間の短縮など様々なことを考慮して、樹脂(コンポジットレジン)、金属、セラミックなどを使用して治療します。
また、乳歯の時にむし歯の多い人は、永久歯になってもむし歯が多い傾向にあります。健全な永久歯のためにも、こどもの乳歯を生えかわりまで健全に保つこと、そして、むし歯はできるだけ早く治すことが重要です。
むし歯の予防方法は、デンタルプラークを取り除くこと。「細菌のかたまりなんだから、薬でやっつけられないの?」と思う方がいるかもしれません。しかし、この細菌はとても強く、抗生物質などの薬では、撃退できないのです。また、よく知られているインフルエンザウイルスなどと戦う、免疫細胞でもやっつけることができません。その強いデンタルプラークを取り除くのに、もっとも効果があるのが「歯ブラシ」です。「毎日やっているよ!」という声が聞こえてきそうですが、その歯ブラシも、効果を上げるためには、正しい方法で、上手に歯を磨くことが肝心なのです。でも心配はいりません。きちんと習えば誰でもできることです。歯磨きでは取り除けないほど硬くなった「歯石」は、定期的に歯科医で取り除くことも重要です。
また、最新の予防歯科では、遺伝子と生活習慣の違いから、将来の発病を予測した予防もできるんですよ。