顎変形症ってなに?
「顎変形症」とは、顔の顎の骨のゆがみが問題となって、噛み合わせに異常をきたした状態です。近年、顎変形症に対する認知度が高まり、咬合不全や審美的改善のみでなく、さまざまな口腔機能の改善を目的に、治療を希望する患者さんが増えています。
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顎変形症とは何ですか?
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上下の顎の骨のバランスが悪く、見た目や機能面に悪影響を及ぼす病態のこと。
顎変形症とは、顎を構成する上顎骨と下顎骨の大きさの異常、形の異常、位置の異常などによって、噛み合わせが悪い状態になり、うまく噛めない、話しづらいなどの機能異常が現れる病態をいいます。顔の見た目にも大きく影響するため、精神的ストレスが伴う場合もあります。噛み合わせが悪くても骨に問題がない場合は顎変形症には含まれず、歯の矯正で治ります。ですが顎の骨のバランスが悪く不調が出ている場合に、顎変形症と診断されます。(専門の矯正科医による診断が必要です)
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顎変形症にはどのような種類がありますか?
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骨格性の疾患として4つに大別され、先天的または後天的な要因で発症します。
分類は大きく分けて4つで、日本人で最もよく見られるのは、「下顎前突症」。下の顎がぐっと出ているいわゆる受け口の状態をいいます。一方上顎が前方に位置する「上顎前突症」は、下顎の劣成長、もしくは上顎の過成長が原因です。また、下方向への顎の過成長により、奥歯のみが接触し上下の前歯部が当たらない「開咬症」や、左と右の成長量の差によって生じる「顔面非対称(顎偏位)」があります。顎変形症の原因はさまざまで、遺伝を含めた先天性の要因や、外傷・生活習慣といった後天的な要因が関与することもあります。
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どうやって治療しますか?
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各症例に応じて、外科的な顎矯正手術による治療を行います。
骨格の異常を、顔貌写真やレントゲン写真、筋機能検査などにより診査した後、総合的に顎変形症と診断された場合には、健康保険適用内で各症例に応じた治療を受けることができます。治療の流れとしては、まず半年から2年程度の術前矯正治療を開始。その後、外科的な顎矯正手術、いわゆる「骨切り」を行います。よく使われる術式は「ルフォーⅠ型骨切り術」。上顎全体の移動を行う方法です。上の歯茎を切って口の中からアプローチし、鼻の横くらいから水平に上顎を切り落とします。前後・左右・上下と3次元的な位置の修正を行い、骨接合用のプレートで上顎をしっかりと固定します。固定用のプレートには、純チタン製の金属プレートと、数年間で自然に消失する吸収性プレートがあります。「下顎枝矢状分割術(SSRO)」は下顎を前方移動・後方移動させる術式として頻用されます。頬の内側あたりの歯茎を切って、そこから下顎の骨を骨切りしてプレートで固定します。また、噛み合わせをより緊密に整えるため
に術後矯正治療も必要となります。一昔前に比べると手術時間は格段に早くなり、特に困難な症例でなければ、上下顎骨切り術は3 時間程度で終わります。
