歯科医療および歯科技工に変革をもたらすデジタル技術

近年、さまざまな分野でデジタル化が進行しており、歯科医療の分野もその例外ではありません。デジタル化によって、従来の業務プロセスをデジタル技術の活用により抜本的に改善し、患者さん・医療従事者双方にとって有益な変革をもたらしつつあります。今回は、当院でどのようにデジタル化が進行しているのかを歯科技工士の立場からご紹介します。

まず、皆さんは歯科技工士いう職業をご存知でしょうか? 歯科技工士は歯科医師がとった歯型をもとに、入れ歯、歯の被せ物、歯の詰め物などの補綴装置を製作する国家資格を持った医療技術専門職で、歯科医療の一端を担っています。当院では9名の職員が補綴装置の製作や加工、修理などを行っています。

次に歯科治療でのデジタル技術のお話です。1つ目は歯科医師によっておこなわれるデジタルスキャニングについて説明します。これまでは、虫歯の治療で患者さんの歯型を取る際にシリコーンゴムなどの型取り材料を使用していましたが、専用のデジタルスキャナーで口腔内を直接スキャンすることで3Dデータを取得できるようになりました。これにより不快な型取り材料の使用を避けることができるだけでなく、精度の高い口腔内のデータの取得と我々歯科技工士とのデータの共有が容易となり、補綴装置の品質が向上しています。

2つ目は患者さんの口腔内から得られたデジタルデータを活用して歯科技工士が製作する補綴装置についてです。これまでの補綴装置は型取りをして作った石膏の模型の上で製作していましたが、現在では、コンピュータ画面上で補綴装置をデザインしてデータ化し、それをもとに専用の機械で樹脂のブロックなどを切削して製作します。この補綴装置をCAD/CAM冠といい、レジン冠(保険)やジルコニア冠(自費)などに用いられています。CAD(Computer Aided Design)とはコンピュータ支援による設計、CAM(Computer Aided Manufacturing)とはコンピュータ支援による製造を意味します。CAD/CAMを使用して製作する補綴装置は、従来の手作業よりも正確に製作できるだけでなく、完成までの時間が大幅に短縮され、品質の安定した“白い歯”を提供できるようになりました。

さらに当院では、患者さんのレントゲンの画像データから3Dプリンターを使用して顎骨モデルの製作や、口腔腫瘍を切除する手術を正確に行うための補助器具の製作を我々歯科技工士が担っており、手術精度の向上、手術時間の短縮や術後の生活の質の向上に寄与しています。

このように歯科治療および歯科技工のデジタル化は、患者さんにとっても医療従事者にとっても大きな恩恵をもたらします。今後、より一層のデジタル技術の進化により精密で迅速な治療が可能となり、歯科医療の質がますます向上すると考えられます。

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