大阪大学歯学部は、国立の総合大学では初の歯学部として昭和26年に創設されました。その後70年を超える時を経て、国際的に有数の歯学教育・研究・診療機関へと、大きな発展をとげてきましたが、その間、本学の臨床教育では伝統的に、歯学生・研修医が一口腔単位で診療計画を立案して患者さんを治療する、いわゆる診療参加型臨床実習を実践してきました。
 わが国では平成18年に歯科医師臨床研修が義務づけられましたが、本院は全国でも有数の歯科医師臨床研修施設として、全国から多数の研修医を受け入れており、当院での単独型研修(プログラムB 募集人員48名)と、協力型臨床研修施設においても研修を行う管理型研修(プログラムA 募集人員17名)の、2つの研修プログラムを実施しています。
 これらの研修プログラムでは、共通研修である初期コースや全身管理・救急研修コースを皮切りに、一般歯科総合診療センターや歯疾制御系科、咬合・咀嚼障害系科・口顎病態系科の専門外来診療室において包括的な臨床研修を行いますが、希望者はそれに加えて、将来の専門医取得に向けた取り組みを円滑に開始できるよう、より専門性の高い内容の臨床も経験することができます。また、歯学部附属病院における夜間の歯科救急当直体験研修や、医学部附属病院での周術期の歯科医療管理研修、さらには大学では経験する機会が少ない訪問診療等を経験するための、山間地域における地域医療の短期宿泊研修などの多彩な研修を実施して、将来の日本の歯科医療を支える人材を育成すべく努めています。
また本院は、快適な研修環境を確保するために、臨床研修指導室、スキルアップラボ、研修医・学生技工室、研修医ロッカー室、談話室などを整備しています。
 卒直後の臨床研修は、皆さんが歯科医師として、また歯学研究者として医療の道を歩み始める第一歩であり、そこで得る貴重な経験は、その後の大きな成長を支える礎となるものです。研修歯科医の皆さんには、将来の自分のキャリアパスを見据えて、大阪大学の伝統に基づく質の高い研修に励んでいただきたいと思います。


                 

令和7年4月1日
プログラム責任者  野崎 剛徳